東京高等裁判所 平成10年(う)2059号 判決
被告人 オサキ ソト セサル アウグスト
〔抄 録〕
そこで検討すると、原審記録によれば、被告人は、平成一〇年八月一日原判示第一の事実により勾留された上、同月七日勾留中起訴され、同年八月二六日原判示第二の一の事実につき、同年一〇月一四日原判示第二の二の事実につきそれぞれ別件勾留中起訴されたものであり、原審において、これらの起訴事実が併合審理され、右勾留は同年一一月二〇日の原判決言渡し時まで更新されたこと、原判決は、起訴事実のすべてにつき有罪の認定をし、勾留状が発付されている(一)の罪につき懲役刑を、勾留状が発付されていない(二)の各罪につき罰金刑を選択して、所論指摘のとおりの言渡しをしたことが認められる。
一般に、勾留状が発付されている起訴事実にこれと併合罪の関係にある勾留状が発付されていない別個の起訴事実を併合して審理した上、有罪の認定をして、前者の罪につき懲役刑を、後者の罪につき罰金刑をそれぞれ選択して懲役と罰金を併科する場合には、未決勾留日数の全部又は一部を宣告刑に算入することを認め、かつ、本刑である勾留状が発付されている罪の刑に算入すべきことを規定した刑法二一条の趣旨にかんがみ、算入可能な日数が勾留状が発付されている罪の刑の刑期を超過するなど特段の事情がない限り、勾留状が発付されていない罪の刑に未決勾留日数を算入することはできないと解するのが相当である。
本件においては、そのような特段の事情は認められないから、原判決が、勾留状が発付されている(一)の罪の刑ではなく勾留状が発付されていない(二)の各罪の刑に未決勾留日数を算入したのは、刑法二一条の解釈適用を誤ったものであり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。
(神田忠治 金谷暁 大澤廣)